マクロの世界

(04)カイロ歴史地区(エジプト)
登録区分:文化遺産 登録基準:(1)、(5)、(6) 登録年:1979年

イル川東岸にイスラム文化を伝えるカイロ旧市街。シタデルや死者の町が広がるイスラム地区(旧市街)、カイロ発祥の地オールドカイロなど約8km×4kmが歴史地区として世界遺産に登録されています。600以上のモスクと1,000ものミナレットが聳え立ち、「千の塔の都」と称えられます。カイロの興りは7世紀、イスラム勢力によるバビロン城の陥落に始まり、10世紀にはオールドカイロが形成され、イスラムの軍事都市として栄えました。当時完成した「アズハル・モスク」は林立する列柱が美しく、イスラム最古の高等教育施設であるマドラサが併設されました。12世紀には十字軍の侵攻に備え堅固なシタデルが建設され、13世紀に興ったマムルーク朝時代には、インド洋と地中海を結ぶ交易で巨万の富を得、モスクや教育施設などが次々に建てられイスラム文化が開花しました。カイロは世界最大規模のイスラム都市となりました。黄金期の14世紀に建てられた「スルタン・ハサン・モスク」にはカイロ一高い約80mのミナレットが聳え、シタデルではエジプト最後の王朝を興したムハンマド・アリがイスタンブールから技術者を呼び寄せ建てた、壮大な「ムハンマド・アリ・モスク」が異彩を放っています。古代エジプト王朝の誕生からピラミッド信仰も薄れた約4,000年後、唯一神アッラーを信奉する敬虔なイスラム教徒たちが築いた新たな都は、学術、文化、経済を発展させ、アフリカ最大の都市へと成長しました。カイロ歴史地区はエジプト文明の薫りを感じさせない不思議空間です。


カイロ歴史地区(2005年02月撮影)