今月の閑人のオペラ

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”ワルキューレの騎行”

ワルキューレ

Die Walkure
リヒャルト・ワーグナー作曲

初演:1870年バイエルン宮廷歌劇場
(あらすじ)

「ワルキューレ」は、”ニーベルングの指輪”と題される、普通のオペラでいうと4本で一つの楽劇(つまり、連日上演しても4晩かかるというとてつもない長さ)の一部です。
『ニーベルングの指輪』全体の構成
前夜祭「ラインの黄金」全1幕4場構成‥‥約2時間(幕間含まず、以下同じ)
第1夜「ワルキューレ」全3幕‥‥約4時間弱
第2夜「ジークフリート」全3幕‥‥約4時間
第3夜「神々の黄昏」全4幕(序幕+1〜3幕)‥‥約4時間半強

ラインの黄金が前夜祭と名付けられているため、ワルキューレは第1夜と呼ばれますが、実際は2番目の物語ということになります。
【第1幕】
時は神話の時代、舞台は森の中のフンディングの館。神々の王ヴォータンは、神の世界と関係のない人間の双子の兄妹ジークムントとジークリンデをもうけ、指環を奪還しようとしました。二人は別々に育ち、あるとき、戦場で傷ついたジークムントは、ジークリンデの不幸な嫁ぎ先であるフンディングの館に迷いこみました。実はジークムントの戦っていた敵がフンディング。フンディングが一晩だけジークムントに宿を貸した後、翌日、一騎打ちの勝負をすることとなります。その晩、ジークムントの前にジークリンデが現れ、かつて一人の老人によって館のトネリコの木に突き刺された剣のことを物語りました。そして、二人は互いが兄妹であることも知ります。ジークムントはトネリコの木から名剣ノートゥングを引き抜き、さらに花嫁として妹を得たのでした。
【第2幕】
ヴォータンはジークムントに勝たせようとしますが、結婚の神である妻のフリッカは兄妹の関係を許しません。渋々ですが、ヴォータンは大地の母神エルダに生ませた娘ブリュンヒルデに、フンディングを勝たせるように命じます。ブリュンヒルデは戦場に赴きましたが、ジークムントとジークリンデの愛の深さを知ると、父の命に背きジークムントを勝たせようと決心しました。
しかし、まさにジークムントが名剣ノートゥングをフンディングに振りかざそうとしたとき、ヴォータンがその剣を砕き、フンディングの槍がジークムントの胸に突き刺さったのです。その間、ブリュンヒルデは素早くノートゥングの破片を集め、ジークリンデを連れて立ち去りました。
 【第3幕】
ワルキューレ達が集う岩山の頂に帰ってきたブリュンヒルデは、ほかのワルキューレ達に助力を求めますが断られます。ジークリンデは夫の後を追いたいと言いますが、ブリュンヒルデから彼女がジークムントの子ジークフリートを宿していることを伝えられ、生きることを決意し、ノートゥングの破片を持って立ち去りました。
そこにヴォータンが現れ、ブリュンヒルデは命令に背いた罰として、通りがかりの男の妻となることを宣告されます。ヴォータンは彼女の神性を抜き取り、岩山の頂に寝かせます。そして、せめてもの情けに、火の神ローゲによってその周りを炎で囲み、臆病で不遜な男は近づくことができないようにしたのでした。

びわ湖ホール プロデュースオペラ
2013年09月22日

滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

大ホール

指揮:沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)
演出・装置:ジョエル・ローウエルス
管弦楽:日本センチュリー交響楽団&
神奈川フィルハーモニー管弦楽団による合同オーケストラ

ジークムント:望月哲也
フンデイング:山下浩司
ウオータン:グリア・グリムズレイ
ジークリンデ:橋爪ゆか
ブリュンヒルデ:エヴァ・ヨハンソン
フリッカ:加納悦子
ゲルヒルデ:岩田亮子
オルトリンデ:増田のり子
ワルトラウテ:礒地美樹
シュヴェルトライテ:三輪陽子
ヘルムヴィーゲ:日比野幸
ジークルーネ:森季子
グリムゲルデ:小林久美子
ロスワイセ:渡辺玲美