今月の閑人のオペラ

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”天国と地獄序曲”

天国と地獄

Orphee aux Enfers
(地獄のオルフェ)
ジャック・オッフェンバック作曲

初演:1858年パリ、ブッフ・パリジャン座
(あらすじ)


【第1幕】
時は神話の時代、舞台は現世と冥界。竪琴弾きのオルフェオは、愛する妻エウリディーチェを亡くし……と始まるところですが、ここでは少し違います。音楽院の院長オルフェとその妻ウーリディスは、すでにお互い愛想を尽かしており、二人とも浮気相手がいるくらいなのです。
オルフェは妻の浮気相手が毒蛇に噛まれるように罠を仕掛けます。妻ウーリディスは恋人に気を付けるように言いますが、毒蛇に噛まれたのはウーリディス自身。でも、ウーリディスの恋人は実は地獄の大王プリュトンだったので、これで晴れて二人で地獄に行けると大喜びします。もちろんオルフェも妻がいなくなって自由を謳歌できることを喜んでいました。
けれど、そんなに世の中、甘くありません。「世論」はオルフェに対し、妻を取り返すべきだと主張します。オルフェはしぶしぶ世論といっしょに神々の世界へと旅立ち、神々の王ジュピテルの前で、嫌々ながら妻を返してほしいと頼むこととなりました。その嘆願を聞いた神々とオルフェは地獄に行くことにします。
 
【第2幕】
地獄でウーリディスは退屈していました。なぜなら、地獄の大王プリュトンが、神々の王ジュピテルに彼女を取られないように、一室に鍵を掛けて閉じこめておいたからです。そうです。実は神々の王ジュピテルも大の女好き。美人だと噂のウーリディスをひそかにものにしようと企んでいました。
地獄に着いたジュピテルは、愛の神キュピドンに命じて自分を蝿(ハエ)の姿に変身させます。そして、鍵穴からウーリディスの部屋に侵入したのです。退屈していたウーリディスにとっては蝿でも何でもかまいません。二人は地獄から神々の世界へと脱出しようとします。
その二人をプリュトンが止めようと三角関係の争いをしていた矢先、そこに世論に伴われたオルフェが現れてしまったのです。そこでジュピテルは、現世に辿り着くまで決してウーリディスのことを振り返って見てはならないという条件付きで、夫婦を帰してやることにします。
妻を愛する夫なら必ず振り返ると思っていたのですが、オルフェオはなかなか振り返りません。そこでジュピテルは雷をオルフェの背後に落としました。びっくりしたオルフェが振り返ると、ウーリディスは再び天に召されて、誰もが喜ぶ結果となったのでした。

びわ湖ホール オペラへの招待
2015年01月10日

滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

中ホール

指揮:大勝秀也
演出・お話:中村敬一
管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団

出演:びわ湖ホール声楽アンサンブル
オルフェ:古谷彰久
ユーリディス:飯嶋幸子
世論:森季子
ブルトン:青柳貴夫
ジュピター:的場正剛
ジュノン:本田華奈子
キューピット:平尾悠
ダイアナ:藤村江季奈
ヴェーヌス:岩川亮子
マルス:林隆史
マーキュリー:砂場拓也
ジョン・スティック:島影聖人
民衆・神々:小林あすき・田中千佳子
     川野貴之・五島真澄