【第1幕】
時は神話の時代、舞台は現世と冥界。竪琴弾きのオルフェオは、愛する妻エウリディーチェを亡くし……と始まるところですが、ここでは少し違います。音楽院の院長オルフェとその妻ウーリディスは、すでにお互い愛想を尽かしており、二人とも浮気相手がいるくらいなのです。
オルフェは妻の浮気相手が毒蛇に噛まれるように罠を仕掛けます。妻ウーリディスは恋人に気を付けるように言いますが、毒蛇に噛まれたのはウーリディス自身。でも、ウーリディスの恋人は実は地獄の大王プリュトンだったので、これで晴れて二人で地獄に行けると大喜びします。もちろんオルフェも妻がいなくなって自由を謳歌できることを喜んでいました。
けれど、そんなに世の中、甘くありません。「世論」はオルフェに対し、妻を取り返すべきだと主張します。オルフェはしぶしぶ世論といっしょに神々の世界へと旅立ち、神々の王ジュピテルの前で、嫌々ながら妻を返してほしいと頼むこととなりました。その嘆願を聞いた神々とオルフェは地獄に行くことにします。
【第2幕】
地獄でウーリディスは退屈していました。なぜなら、地獄の大王プリュトンが、神々の王ジュピテルに彼女を取られないように、一室に鍵を掛けて閉じこめておいたからです。そうです。実は神々の王ジュピテルも大の女好き。美人だと噂のウーリディスをひそかにものにしようと企んでいました。
地獄に着いたジュピテルは、愛の神キュピドンに命じて自分を蝿(ハエ)の姿に変身させます。そして、鍵穴からウーリディスの部屋に侵入したのです。退屈していたウーリディスにとっては蝿でも何でもかまいません。二人は地獄から神々の世界へと脱出しようとします。
その二人をプリュトンが止めようと三角関係の争いをしていた矢先、そこに世論に伴われたオルフェが現れてしまったのです。そこでジュピテルは、現世に辿り着くまで決してウーリディスのことを振り返って見てはならないという条件付きで、夫婦を帰してやることにします。
妻を愛する夫なら必ず振り返ると思っていたのですが、オルフェオはなかなか振り返りません。そこでジュピテルは雷をオルフェの背後に落としました。びっくりしたオルフェが振り返ると、ウーリディスは再び天に召されて、誰もが喜ぶ結果となったのでした。
|