今月の閑人のオペラ

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”水夫の合唱”

さまよえるオランダ人

Der fliegende Hollander
リヒャルト・ワーグナー作曲

初演:1843年宮廷歌劇場(ロデスデン)
(あらすじ)

【第1幕】
時は18世紀。舞台はノルウェーの海岸。その昔、嵐に襲われた船のオランダ人船長が、その荒波に対して「私は永遠に止まることなく乗り切ってみせる」と豪語したために、その船は悪魔に呪われてしまい、オランダ人船長は死ぬことも許されずに、永遠に海をさまよい続けることになりました。この呪いを解くためには、7年に1度許される上陸の機会に、オランダ人船長に「永遠の愛」を誓う女性が現れなければなりません。
そして時は過ぎ、7年の周期にあたるある日、オランダ人の船は船長ダーラントの乗るノルウェー船に出会います。オランダ人はダーラントにひとりの娘がいることを聞き、結婚を申し込みます。ダーラントはオランダ人の船に積んであった財宝の数々に目がくらみ、娘との結婚を快諾。2隻の船はダーラントの故郷に向かいました。
 
【第2幕】
さまよえるオランダ人の伝説は人々によく知られていました。ダーラントの娘ゼンタは、自分こそがオランダ人を救う聖なる女性なのだと信じていました。そこへ、航海を終えた父ダーラントが見知らぬ男を連れて帰ってきたのです。オランダ人との結婚による利益を説く父を尻目に、ゼンタはオランダ人と運命によって引きつけられたことに感動しつつ、永遠の愛を誓うのでした。
 
【第3幕】
2隻の船が停泊する港では、ノルウェー船の水夫やその妻たちが無事に帰還できたことを祝っています。しかし、呪われたオランダ人の船からは、暗い運命を嘆く歌が聞こえてきます。
さて、ゼンタには、実はエリックという恋人がいました。エリックはゼンタが自分を裏切ったことを責めます。かつて自分たちは愛し合っていたのに……、と。このとき、その話を物陰から聞いていた者がいました。オランダ人です。所詮永遠の愛など存在しないのだと絶望したオランダ人は、船に乗り込み出航します。オランダ人の船が岸から遠のくときゼンタは、オランダ人に対する真の愛を誓って海に身を投げました。すると、呪われた船は海に沈み、オランダ人とゼンタの体は、空から一条の光を浴びて、天に昇っていきます。ゼンタの死とともに、オランダ人は呪いから救済されたのでした。

びわ湖ホール プロデュースオペラ
2016年03月05日

滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

大ホール

指揮:沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)
演出・ミヒャエル・ハンペ
管弦楽:京都市交響楽団
合唱:二期会合唱団
       新国立劇場合唱団
      藤原歌劇合唱団

オランダ人:青山 貴
ダーラント:妻屋秀和
ゼンタ:橋爪ゆか
エリック:福井 敬
マリー:小山由美
舵手:清水徹太郎