(1)今月の万葉秀歌訪問


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(1)京都府・宇治市
宇治公園
橘島近辺
 
もののふの 八十氏河(やそうぢかわ)の 網代木(あじろき)に
いさよう波の 行く方(え)知らずも

 柿本人麻呂(巻三・264番)
(1)橘島の人麻呂歌碑
(2)宇治橋より橘島を望む
(3)宇治公園・橘橋
(4)宇治公園・橘島より宇治川を望む
【宇治公園へのアクセス】

JR宇治駅より徒歩約15分

京阪電車宇治駅より徒歩約10分
この歌は、柿本人麻呂が、近江の国より奈良に帰る途中に、宇治川付近で作った歌で”宇治川の網代木で一時停滞し、やがて行方知れずとなる波の様に、滅び去った、近江の都に仕えていた人達は、いったいどうなったのであろうか”と言う意味で、前記(4)(5)の彼の近江荒都歌とも関連する。網代は、秋から冬にかけて、魚を取る仕掛けの事で、杭を川の中に上流に向ってV字形に打ち、杭の間に竹等で編んだ簾をはり、氷魚(鮎の稚魚)を取るもので、この網代に用いる杭を網代木と言う。

(2)京都府・宇治市
宇治公園
朝霧橋近辺

宇治川は 淀瀬(よどせ)無からし 網代人(あじろびと) 
舟呼ばふ声 おちこち聞こゆ
 

 作者不詳(巻七・1135番)
(1)宇治河畔の歌碑
(2)橘島より朝霧橋を望む
(3)宇治公園・朝霧橋
(4)宇治川と宇治橋
【宇治公園へのアクセス】

JR宇治駅より徒歩約15分

京阪電車宇治駅より徒歩約10分
この歌の作者は不詳で、”宇治川には、流れの穏やかな川瀬が無いらしい。網代で魚を捕る人達の舟を呼ぶ声があちこちで聞こえてくる。”と言う意味である。何の変哲も無い素朴な歌ですが、静かな宇治川河畔に立って、目をつぶると、タイムスリップして、当時人々の生活の声が聞こえて来る様な気がします。