知っとこピアノ豆知識集(001)

ピアノの名前は何故ピアノなの?

復元されたクリストフォリの
ピアノ
ピアノが発明されたのは、はるか17世紀にまでさかのぼります。それ以前は、管楽器以外に強弱をはっきりつけられる楽器というのはなかったそうです。オルガンは強弱表現が難しく、「ない」に等しいとされていたのです。ピアノが作られた当時はそんな状況で、指の強弱で豊かな表現を作ることのできるピアノは、音楽業界にとって革命をもたらす存在となりました。ピアノは、イタリアのハープシコード製作者のバルトロメオ・クリストフォリという人物が発明したとされています。(ハープシコードの改良型から現在のピアノになるまでには、随分変遷があった様です。)彼は発明したその楽器にイタリア語で「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と命名したそうです。ピアノ・エ・フォルテ、とは音楽をかじった方なら誰しもが分かるとおり、楽譜に書いてある記号のpとf、ピアノとフォルテのことを指します。記号のピアノは「弱く弾く」、そして記号のフォルテは「強く弾く」という意味でこの2つは強弱記号と呼ばれます。つまり、”ピアノ・エ・フォルテ”は「強弱をつけられる楽器」という意味で名付けられたのです。”ピアノ・エ・フォルテ”という言葉は、流通するうちにいつしか省略され、言葉の前半”ピアノ”だけが楽器の名称として残りました。ピアノ・エ・フォルテの元々の意味を考えると「強弱表現のできる楽器」なわけですから、ピアノは「弱い表現の出来る楽器」という意味になってしまいます。それでは、なんだかよく分からない楽器になってしまいますね。ただひとつ言えることは、ピアノという楽器は、その名前と共に、過去も現在もたくさんの音楽家に愛され続けているということです。
従って”ピアノ”はあくまでも通称で本名は”クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ”さんで、略称が”ピアノ・エ・フォルテ”さんなのです。思い出したら時々は本名で呼んであげたいものですね。