知っとこピアノ豆知識集(003)

モーツアルトの時代のピアノは白鍵と黒鍵がさかさまだった?
”黒、白はっきりさせる”とか”白い物を黒と言いくるめる”とか白黒に関しては色々な言葉がありますが、ピアノの世界では”黒”が”白”になり、”白”が”黒”になる大変革(?)が過去には、あった様です。現在のピアノの鍵盤は1オクターブの7つの幹音が白鍵、その間の5つの半音が黒鍵です。けれども、モーツァルトが活躍していた18世紀のピアノは、今の白鍵の部分が黒色、黒鍵の部分が白色で、ちょうど反対になっていました。ピアノだけでなく、当時はオルガンやチェンバロの鍵盤も、現在と白黒さかさまのものが主流だったようです。ところが、19世紀になってピアノが鍵盤楽器の主役になると、いつのまにか白と黒の位置関係が入れ替わってしまいます。その理由はよく分かりませんが、視覚的に白い色は浮き上がり、黒い色は引っ込んで見えるので、張り出している半音の鍵盤を黒くした方が、見た目に安定感があるためとも、ピアノが普及するにつれて、白を主体とした明るい鍵盤の方が好まれるようになったためとも言われています。
パイプオルガンの鍵盤 【追記】
先日東京のサントリーホールのパイプオルガンの演奏を見る機会がありましたが、このオルガンの鍵盤は白黒逆になっていました。パイプオルガンの歴史は古く紀元前数世紀にも遡り、教会で使用される様になったのが7世紀頃と言われています。チェンバロの歴史はは14世紀頃からですので、多分パイプオルガンの鍵盤の方式がチェンバロに受け継がれ、それが初期のピアノにも引き継がれたのであろうと思われます。パイプオルガンはその伝統を今でも引き継いでいるのですね。(偉い!)
チェンバロの鍵盤