知っとこピアノ豆知識集(006)

エラールピアノをご存知ですか?
滋賀のびわ湖湖ホールでエラールピアノの演奏を聴けると言うので出かけて見ました。エラールとは、1780年、エラール兄弟によって設立されたフランスのピアノ、ハープ製造会社、出版社です。迅速な同音連打を可能にする装置の発明や、アグラフの開発など、ピアノ機構の発展に先駆的役割を果たし、エラールから生み出されたピアノはハイドン、ベートーヴェン、リスト、ショパン、ドビュッシーなど、それぞれの時代の作曲家たちに愛され、音楽史に名を残す名器として語り継がれています。特にベートーヴェンが1803年に手に入れたエラールのピアノを用いて、ピアノソナタ”ワルトシュタイン”、”熱情”を作曲したことは有名です。ラヴェルの夜のガスパールやピアノ協奏曲が正にこのエクストラベースを持つ90鍵盤のピアノから生まれたものです。エラール社は現在はもうありません。今回、びわ湖ホールのメインロビーに設置されたピアノは、1927年製、90鍵盤エクストラベースを持つ、フルコンサート仕様(全長260cm)のグランドピアノです。豊かでふくよかな低音から繊細で上品な高音を特徴とし、幅広い表現力も備えています。又、6本の脚、ダークマホガニーの色調など、貴族的雰囲気を持った美しい外装も大変魅力的です。当日は滋賀県在住のピアニスト川嶋美紀氏がドビュッシーの亜麻色の髪の乙女やショパンのノクターン等の演奏を行いましたが、特に澄んだ高音が綺麗に感じられました。演奏後ピアノを実際に見せてもらいましたが、手入れが行き届いていてとても80年前のピアノには見えませんでした。係りの女性に冷やかし半分で”今、買うとしたら、いくらくらいですか?”と聞いたら、”そうですね、今買って頂けるのでしたら、1.5位かなあ?”と・・・。恐ろしくて、それ以上は聞きませんでしたが・・・。(幾ら骨董的な価値があるとは言え1.5億は無いでしょうね・・・・。ああ、コワ〜!)
びわ湖ホール
エラールピアノ
エラールのロゴ