知っとこピアノ豆知識集(008)

日本最古のピアノは?、それは現存しているのでしょうか?

シーボルトのピアノ(萩市:熊谷美術館)

フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト

ピアノの内部には「わが友kumayaへお別れに贈る」というシーボルトのサインが書き込まれている

西洋でピアノが初めて作られた17世紀は日本の江戸時代の初期にあたります。江戸時代は長い鎖国が続いたので、日本へピアノが伝来するのは随分遅れ、江戸時代末期になりました。当時海外との唯一の窓口であった長崎の出島では狭い島での退屈な日々を過ごす商館長をはじめとするオランダ人達の楽しみのひとつが音楽でした。いろいろな楽器が持ち込まれ、その中には当時「洋琴」と呼ばれたピアノも入っていました。商館長ブロンホフの日記に日本人に弾いて聞かせたという記録が残っています。日本最古のピアノは、文政6年(1823年)8月にフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが長崎にやってきた時に持参したもので、出島商館の外科部屋で故郷の歌曲を演奏したといわれています。このピアノは後にシーボルトから親交のあった萩の豪商である熊谷氏に寄贈され、現在は熊谷氏の故郷の萩市の熊谷美術館に展示されています。このピアノは英国・ロンドンのロルフ商会のスクエアー・ピアノで今でも演奏可能な様です。(下欄のボタンをクリックすれば、この歴史的ピアノによる演奏を聴く事が出来ます)

シーボルトのピアノコンサート