マクロの世界




(23)百舌鳥・古市古墳群(大阪)
登録区分:文化遺産 登録基準:(3)、(4) 登録年:2019年
アゼルバイジャンの首都、バクーで開催中された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会で世界最大級の墳墓である「仁徳天皇陵古墳」(大山(だいせん)古墳)を含む「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」(大阪府)を世界文化遺産に登録するとが決定しました。天皇や皇族の墓として宮内庁が管理する「陵墓」の登録は初めてです。日本国内の世界遺産は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎県、熊本県)に続き23件目で、7年連続での登録となりました。大阪で初の世界遺産となる百舌鳥・古市古墳群は、百舌鳥エリア(堺市)と古市エリア(羽曳野市、藤井寺市)にある計49基の古墳で構成されています。4世紀後半から5世紀後半、大陸と行き来する航路の発着点だった大阪湾を望む場所に築造され、墳丘の長さが486メートルもある国内最大の仁徳天皇陵古墳や425メートルの応神天皇陵古墳(誉田御廟山=こんだごびょうやま=古墳)など大規模な前方後円墳が集中しています。 ほかに数十メートルの円墳や方墳、帆立て貝形など多様な規模と形状を持つ古墳があり、被葬者の身分や権力を示すとされます。このうち陵墓は29基で、ユネスコ諮問機関のイコモスが、「傑出した古墳時代の埋葬の伝統と社会政治的構造を証明している」として登録を勧告していました。 一方、イコモスでは「都市における開発圧力が懸念される」とも指摘しており、今後は住宅地に密接する古墳の厳正な保存管理が求められることになります。陵墓も含まれるため、観光客の受け入れ態勢をどう整えていくかも課題になりそうです。


百舌鳥・古市古墳群(2003年04月撮影)