マクロの世界



(2)姫路城(兵庫)
登録区分:文化遺産 登録基準:(1)、(4) 登録年:1993年
日本の世界遺産条約締約は1992年(平成4年)のことであり、姫路城はその年の10月1日に正式推薦されました。世界遺産委員会の諮問機関である国際記念物遺跡会議 (ICOMOS) は推薦に先立つ同年9月と、推薦後の1993年(平成5年)4月と8月に現地調査を行ないました(なお、これとは別に後述するオーセンティシティの評価のため、ICOMOS事務総長が同年5月に視察しました)。その結果を踏まえ、同年10月に「登録」が勧告されました。そこで評価されたのは、木造建築物として、白漆喰の城壁を持つ優れた美と実用的機能を兼ね備えていること。明治以前の封建制度の象徴であること。日本の木造城郭建造物として最高のものであること。といった点でありました。そして、同年12月の第17回世界遺産委員会(カルタヘナ)で、「法隆寺地域の仏教建造物」とともに日本初の世界文化遺産として正式登録されました。資産としての登録地域は、中曲輪より内側となっており、その範囲は特別史跡指定地域と重なっています。さらにその周囲が緩衝地域(バッファーゾーン)に指定されています。従来、緩衝地域の規制は緩やかなものでしたが、1993年に中壕通り都市景観形成地区(都市景観条例による)が指定され、2008年には資産部分を含め、姫路城周辺風景形成地域の指定が行われました。2012年の第36回世界遺産委員会に際して、登録範囲の明確化が行われました。この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録されました(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用です)。
(1) 人類の創造的才能を表現する傑作である。
  • ユネスコ世界遺産センターによれば、この基準の適用理由は「姫路城は木造建築の傑作」であり、「実用的機能と優れた美的外観とを兼ね備えている」ことなどです。
(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例である。
  • 同じくこちらの基準の適用理由は、「日本の木造城郭建築の最高点を示しており、重要な特徴を全て無傷で保存している」ことです。
なお、上述の通り、ICOMOSの勧告の時点では封建制の象徴という側面も評価されており、それによる基準 (3) の適用が勧告されていましたが、正式登録では採用されませんでした。


姫路城《平成の修理以前》(2003年04月撮影)























姫路城《平成の修理以降》(2016年04月撮影)