マクロの世界




(17)富士山-信仰の対象と芸術の源泉(静岡・山梨)
登録区分:文化遺産 登録基準:(3)、(6) 登録年:2013年
静岡県と山梨県にまたがる富士山は、言わずと知れた日本一の名山です。長きにわたる噴火活動によって形成された円錐型のバランスは世界屈指の美しさを誇り、「富士山を世界遺産に!」というのは日本の悲願でした。ゴミの投棄などの環境管理問題が長年のネックになっていましたが、清掃活動や“文化遺産”としての価値をアピールする活動が結実しました。「富士山本宮浅間大社」や「河口湖」、40km以上離れた場所にある景勝地「三保の松原」など25の構成資産とともに、2013年6月に世界遺産に登録されました。世界遺産としての正式な登録名は「富士山─信仰の対象と芸術の源泉」です。“霊峰”という呼称が示しているように、古来より富士山は、その荘厳な存在感により「富士信仰」として人々から崇め奉られてきました。火山活動が沈静化してからは、遠くから眺めて拝むだけでなく、実際に登頂して御来光を拝むといった“登拝”スタイルが浸透します。これは現代人にも受け継がれています。また富士山は、日本最古の歌集である『万葉集』や、『竹取物語』や『伊勢物語』といった古典文学、あるいは葛飾北斎の『冨岳三十六景』や歌川広重の『東海道五十三次』など、古代から現代に至るまで様々な芸術にインスピレーションを与え続けてきました。また、浮世絵に描かれた富士山は、海を越えてモネやゴッホといった芸術家たちにも大きな衝撃を与えました。こういった文化遺産としての側面が、世界遺産登録の大きな要因になりました。


富士山-信仰の対象と芸術の源泉(2004年02月撮影)