(1)陶芸作品集

缶ビールや瓶ビールからグラスにビールを注ぐ際に、素焼きの陶器表面に触らせて注ぐと、泡がクリーミーになり、美味しくビールを頂けると言う話を聞き、実際にその様な陶器を試作して見ることにした。

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@予備検証(効果等について予備検証実施)

検証用に缶ビールから液体をグラスに注ぐ為の漏斗を陶器で試作した。泡の効果は陶器の表面状態(特に表面のざらつき状態)により違うと推定される。この為、釉薬はかけず素焼き(約600℃)の状態の陶器及び外面にのみ釉薬をかけ、ビールの液体が触る面は素肌のままの本焼き(約1100℃)状態の陶器ものを試作した。後者の方が2度焼きになるのと本焼きの温度が高い為に土が焼きしまり、表面の状態は素焼きのまま(前者)よりも滑らかである。但し物理的な強度は比較にならない程、前者は弱い。これら両方の漏斗を使用して実際にビールを注ぎ、泡の状態を比較検証した。


(A)漏斗の試作

写真の右側の漏斗が素焼き状態のもの、左側の漏斗が外面にのみ釉薬をかけてビールの液体が触る面は素肌のままの本焼き状態のもの
漏斗のサイズはΦ80XH60で注ぎ口のパイプ内径はΦ6である)


(B)試作漏斗による漏斗によりビールを注ぐ

右側のグラスは素焼き状態の漏斗を使用してビールを注ぐ。中央のグラスは外面にのみ釉薬をかけた漏斗を使用してビールを注ぐ。左側のグラスは何も使用せずに直接ビールを注ぐ。注ぐ時間はほぼ合わせた。


(C)グラスに生じる泡の比較

ビールの表面に出来た泡の比較をすると漏斗を通したものの方が泡が細かく、出来た泡も消えにくい事が確認出来た。漏斗を通した物どうしの比較ではやはり素焼きのままの物の方が若干泡は細かく見えるが、あまり大きな差では無い。(左側のグラス:直接注いだもの、中央のグ
ラス:外面にのみ釉薬をかけ本焼きした漏斗を使用してビールを注いだもの、右側のグラス:素焼きの漏斗を使用してビールを注いだもの)


(C)予備検証の結論

陶器の表面にビールの液体を触れさせる事による、泡のスムース化の効果は大きい。効果が一番大きいのは素焼きのままの状態の陶器であるが、外面にしか釉薬をかけずに本焼きまでしたものでも泡の効果は十分である事が確認出来た。従って出来上がった物の物理的強度等も考慮すると、外面にのみ釉薬をかけ本焼きまで行う仕様が総合的には良いと思われる。

A製作図面(設計図面)製作

前記@の予備検証結果に基づき、ビール泡スムーサーの設計図面を製作した。

Bビール泡スムーサーの製作

前記Aの設計図面に基づき、ビール泡スムーサーを製作した。

Cビール泡スムーサーの効果の検証

前記Bせ製作したビール泡スムーサーを使用して、実際にグラスにビールを注ぎ、直接ビールをグラスに注いだ場合との泡の細かさを比較検証した。

(1)ビール泡スムーサーを通してビールを注ぐ

@ビール泡スムーサーとカップ(2組) A検証に使用のビール泡スムーサー B比較検証準備
Cグラスに泡スムーサーをセット Dビールを注ぎ始め Eビール注ぎ終わり

(2)ビール泡の比較

左側のグラスが泡スムーサーを通したもの、右側のグラスが泡スムーサーを通さずに直接注いだものである。

(3)ビール泡スムーサー効果の検証結果(結論)

ビール泡スムーサーを使用してビールを注ぐ事により、非常に滑らかで細かい泡をビールの液面に形成出来る。口当たりも良好である。但し、泡が出来過ぎる傾向があり、注ぐ際の工夫が必要である。(グラスを少し傾けて注ぐと泡の発生の抑制が可能)