今月の閑人のオペラ



"
”ダッタン人の踊り”

イーゴリ公

Prince Igor
アレクサンドル・ボロディン作曲

初演:1890年11月4日

サントペテルブルク・マリンスキー劇場
(あらすじ)
12世紀ノーヴゴロド(現キエフ付近)を治めるイーゴリは、南から侵略する遊牧民族ポロヴェツ人を征伐するために、留守を(妻の弟)ガリツキーに託し、息子ウラジーミルと出陣する。しかしガリツキー公はとんでもない男。領主の留守をいいことに、町から若い娘たちをさらっては、周りにはべらせ、酒宴に明け暮れ、その上「自分が領主になるのだ」と野心を抱く。イーゴリの妻・ヤロスラーヴナは、「ガリツキーに娘を奪われた」との母親達の訴えではじめて弟の悪行を知り、強く弟をとがめるが、ガリツキーは悪態をつくばかり。イーゴリの使者が「わが軍は破れ、イーゴリは負傷し、ウラジーミルと共に、捕虜になってしまった」と知らせに来る。そして、ポロヴェツ人の来襲を告げる警鐘が鳴り響く。大草原にあるポロヴェツ人の陣営では、捕虜として働かされるイーゴリの兵士たちが、ポロヴェツの娘たちのやさしい対応に感謝している。中でもウラジーミルは、ポロヴェツの首領コンチャク・ハンの娘と愛し合う。人目を忍んで会った二人は、結婚したくても叶わない運命を嘆く。コンチャクはイーゴリに「自分達に味方せよ」と説得するが、イーゴリは丁重な待遇に感謝意を表しつつも、コンチャクと手を組むことを断固拒否する。そのイーゴリの武人としての態度に惚れこんだコンチャクは宴を開く。美女達や勇猛な男達の踊りから全員の踊りへと盛り上がり、最後はコンチャクを讃える熱狂的な大合唱になる。ポロヴェツ人たちは次々にロシアの町や村を襲い焼き払い、大勢の捕虜や戦利品を陣営に持ち帰る。イーゴリは息子のウラジーミルや兵士たちから「このままではロシアは滅びてしまう。ロシアを救うために脱走してほしい」と頼まれ、遂に逃亡を決意して陣営を出ようとしたその時、コンチャクの娘が現れ、ウラジーミルに行かないで欲しいと哀願する。イーゴリは追っ手を引き離し馬で逃げるが、ウラジーミルは捕らえられ、ポロヴェツの兵士に殺されかけるが、娘が恋人・ウラジーミルを身をもってかばう。それを見たコンチャクは寛大にウラジーミルを許し、2人を結婚させる。
戦火で荒れ果てたイーゴリの城で、妻が待ちわびる。その時遠くからイーゴリの乗る馬の土煙が見え始め、皆でその帰還に気付く。城に帰り着くとは妻と歓呼する民衆に迎えられ、力強く再起を誓う。

ウクライナ国立オデッサ歌劇場
2012年01月28日

兵庫県立芸術文化センター
KOBELCO大ホール

指揮:ユーリイ・ヤコヴェンコ
管弦楽:ウクライナ国立オデッサ歌劇場管弦楽団
合唱:ウクライナ国立オデッサ歌劇場合唱団
バレエ:ウクライナ国立オデッサ歌劇場バレエ団

イーゴリ公:アレクサンドル・ブラゴダールヌィ
ロヤロスラ―ヴナ:アーラ・ミシャコワ
ガリツキ―公:セルゲイ・ザムィツキ―
コンチャク汗:ウラディミール・グラシェンコ
ウラディーミル:アレクセイ・スレブニツキ―
コンチャコ―ヴナ:リリア・クチシェヴァ